胃潰瘍によくある症状

胃潰瘍の主な症状として挙げられるのが、継続的な上腹部の痛み、胸やけ、食欲不振、膨満感等になります。ただし、患者によっては症状が重くなる場合もあります。

まずは、上腹部に走る継続的な痛みからです。胃潰瘍の症状のなかでも最も多くの人が感じる症状と言えるでしょう。

通常、上腹部やみぞおち部分において継続的に鈍い痛みが走ります。食べ物が胃に到着し、潰瘍が刺激されると、食事を終えた後にキリキリと痛み始めます。

次に、胸やけについて見ていきましょう。胸やけとは、その名の通り胸が焼けるような不快症状を指します。

さらに、胃酸の大量分泌や胃の運動の悪化、長時間にわたる食べ物の滞留により、胃酸が逆流する「呑酸(どんさん)」と呼ばれる症状が引き起こされることがあります。酸っぱい液体が口へと込み上がり、ゲップが頻繁にでるような場合は要注意です。

この長時間にわたる食べ物の滞留が原因で、嘔吐や吐き気の症状に見舞われることがあります。

最後に紹介するのが膨満感です。その名の通り、膨満感とはまるで腹部が張っているかのように感じる症状を言います。腸管内にガスがたくさん溜まったり、腸の運動がスムーズに行われなかったりすると、やがて胃酸が分泌されなくなってしまいます。

胃もたれの原因と対処法〔胃もたれ110番〕

胃潰瘍に効く医薬品成分

胃潰瘍の治療薬と言っても多種多様ですが、こちらでは胃の防御作用を強める治療薬をいくつか紹介したいと思います。

胃の防御作用を強めるための治療薬に関しては、胃酸の分泌を抑制する治療薬(例. ヒスタミンH2受容体拮抗薬プロトンポンプ阻害薬)と比べると、治療効果はやや劣ります。したがって、通常単独で使用されることはありません。

胃の防御作用を強める治療薬については、前述のヒスタミンH2受容体拮抗薬プロトンポンプ阻害薬と併用するのが一般的です。

それでは、ここからはプロスタグランジン製剤との組み合わせに着目したいと思います。プロスタグランジンには胃の粘膜を保護したり、粘膜の分泌を促したりする働きがありますが、このプロスタグランジン製剤とはこのプロスタグランジンの増加を助ける治療薬のことを言います。

特に、NSAID(非ステロイド性抗炎症薬)を原因とする胃潰瘍治療に適しています。尚、プロスタグランジン製剤の使用に際して、注意しなければならない点がいくつかあります。

まず、腹痛や下痢等の副作用を引き起こしてしまう恐れがあります。また、子宮の収縮を促してしまうため、妊娠中の女性による使用は一切認められていません。

さらに、胃粘膜の働きの強化や粘液の分泌、あるいは胃粘膜内の血流の増加に対して有効な防御因子増強薬もあります。いずれにせよ、胃潰瘍患者の強い味方となっていることには変わりありません。